Entries by 川本 敬二

国家戦略地域として新たな発展を遂げる海南省

海南島は、中国の最南端にある中国最大の島で、面積は台湾とほぼ同じ、そして、政治的に注目を浴びている南海に向かって浮かんでいます。従来の印象としては、新婚旅行で行く美しい海岸、それと、欧州のダボス会議に対抗してボアオ・アジア会議が開催される所、くらいの印象でした。ところが、2020年に「海南島」が国家戦略地域に指定され、自由貿易地区を展開すると宣言されてから、俄然、経済的にも注目される地域となってきました。

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科創板の上場要件(IPO要件)(上海証券取引所・科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market))

科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market)がこの6月に創設2周年を迎えます。3月末までに、IC集積回路、医薬バイオ、新素材、ハイエンド製造等の分野の251社がIPOに成功しました。内56社が医薬バイオ関係会社です。全体の中で医薬バイオ関連企業が占める割合は22%です。一方で、これまでに95社がIPO申請を取り下げており、内11社が医薬バイオ関連企業です。特に直近の3か月にIPO申請の取り下げは、57社と相次ぎました。 科創板の上場中止が相次いだ原因 こうしたIPOの中止や取り下げは、科創板(Star Market)の「上場基準(IPO)」の変更、厳格化に起因しています。

処方薬の電子商取引(医薬品のネット販売)の具体化について政策が発表される

「六保、六穏」とは、2018年に中国政府が打ち出した政策で、国民の就業機会および生活の基本等を「確保」することによって、企業が事業を行うビジネス環境の整備・「穏健」化を図り、投資の推進に結び付けようというものです。この政策実施の一環として、2021年4月15日に国務院が新たに政策文書を発表しました。 「六穏」「六保」の基本政策概念を更に進めて行政管理の簡素化を推進する為の指針(关于服务“六稳”“六保”进一步做好“放管服”改革有关工作的意见)国办发〔2021〕10号

哈薬集団(Harbin Pharmaceutical Group)

中国の東北地方(満州)の黒竜江省・ハルピン市を発祥地とする老舗企業、ハルビン製薬 (哈药/Harbin pharma) (600664/SSE) 。国有企業をルーツとし、経済的に停滞が続く地域に本拠を構えていたハルピン製薬は、2004年に外部資金を導入するも、2014年以降、業績が下降線を辿っている。その立て直しとして、2018年には国の持ち株比率を38%にまで抑え、続く2019年、元中国ノバルティスのトップを総経理として迎え、外部人材を続々と投入、北京市内の瀟洒なビルに営業部隊を編制する等の変革を試みてきた。

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中国での医薬品知財の動向と特許法の第四次改正(前半) ~ 特許法の第四次改正法案の公表(2020年7月)を受けて

医薬品の分野が、米中間で政治問題化している通信・IT分野と異なっている所は、中国が医療分野で大きな国内問題を抱えていており、その制度改革と表裏一体の関係にあることです。医薬品の流通、薬価、保険、製品の品質等の問題がそれです。
この記事では改革の方向性や知財制度改正の3つのポイントを取り上げます。

BeiGeneの新薬が中国発の抗がん剤では初めてFDA画期的治療薬に

BeiGene (百済神州)のBTK阻害剤である zanubrutinib が FDA によって画期的治療薬として指定を受けました。今後 zanubrutinib は各申請を省略し、上市申請されることになります。また、これはFDAが認めた中国発の抗がん剤で初めての画期的治療薬です。 zanubrutinib (BGB-3111)は北京 BeiGene によって開発された、小分子ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。慢性リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、非ホジキンリンパ腫の一種であるワルデンストレームマクログロブリン血症(WM)といったB細胞性腫瘍をターゲットにしています。2018年7月にFDAは既にWMを対象に優先審査を認めましたが、今回はMCLを対象に画期的治療薬として指定しました。また、NMPAはMCL(2018年8月27日)とCLL・SLL(10月24日)を対象にして上市申請を受理しています。 FDAへの上市申請は今年前半を目指しているとしています。 BTK阻害剤は、2014に米国で上市された ibrutinib が有名ですが、本新薬はそれと比較して高い奏効率と低い副作用発生率を試験結果で残しており、第二世代のBTK阻害剤として期待されています。 中国本土初の医薬品で画期的治療薬として指定されたものとしては初であり、2017年に指定された台湾TaiMed BiologicsのHIV治療薬ibalizumabを含めれば、2つ目です。

中国発の免疫療法薬としては2番目の新薬が上市

Innovent Biologics(信達生物)のがん免疫療法薬 Tyvyt (sintilimab) が、12月27日に上市承認されました。これにより、中国で上市承認された中国発の免疫療法薬は2つとなりました。 中国において既に上市されている抗PD-1/PD-L1阻害剤は、中国発2つ、海外発2つで、Innovent の CEO は PD-1 阻害薬が中国の医薬品企業にとって海外企業と対等に戦うことのできる最初の領域になったと語っています。

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中国特許法改正案が提出されました

12月5日、李克強総理は国務院常務会議を司会、《中華人民共和国特許法改正案(草案)》(中国語:中华人民共和国专利法修正案)を可決し、草案を2018年12月23日〜29日に開催予定の全国人民代表大会常務委員会に提出することを決定しました。今回国務院を通過したこの特許法改正案には3つの注目点があります。

2018/12/4 中国医薬品産業ビジネスセミナー開催

経済的にも国の生き残りをかけて党・行政主導による産業構造の未来に向けた改造に向かっている中国。医薬品産業においては、過去数年、ジェネリックの事業環境に大鉈が振るわれ、且つ、新薬の研究開発の推進に向けて重点的な梃入れ政策が打たれています。

そのような中国における医薬品産業を取り巻く激動が渦巻く今、中国の医薬品企業は、どのような企業戦略でこの環境を乗り越えようとしているのでしょうか? さらに、中国の政策・規制環境は将来、どちらに向かっていくのでしょうか? 今後、日本の医薬品企業が中国とどのように向き合っていったらよいかを考えていただくために、一石を投じたいと思います。

新薬の初上市を米国ではなく中国で

新薬の初上市を中国でするケースが増えてきました。中でもアストラゼネカは世界で販売予定の貧血治療用新薬をまず中国で米国より1年ほど早く投入します。またイーライリリーも新薬を中国でまず上市予定です。背景には中国の市場の拡大と、制度の変化があります。

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5月1日より抗がん剤の関税を撤廃

国務院常務会議において李克強総理は抗がん剤の関税をなくすと発表し大きな話題になりました。しかしよく調査してみるとこれだけではあまり実効性のある政策ではありません。他の2つの政策と組合せることによって、実効性と話題性を持たせることに成功しています。この政策の背景についても解説しています。

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医薬品特許保護期間を上市から5年認める、データ保護期間も延長

5月15日、日本経済新聞は「中国、薬の特許期間を延長 5年間、先進国並みに」という記事を掲載し、中国が5月から医薬品の特許期間を今の20年から最長25年間に延長し、先進国と足並みをそろえたと報道しました。しかしこの報道には若干修正が必要です。さらに詳しい情報をお伝えします。

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中国特許法の第四次改正(後半)-特許権の強化 vs 特許権の濫用

昨年 2015 年 4 月に中国特許庁より公表され、パブリックコメントを募った改正法案に基づき、その改正の方向性について、中国特許法の第四次改正案(前半)にて説明致しました。近年、中国の政府及び国内企業が研究開発の投資を積極化していることを受けて、中国国内の研究機関に於いて、自主技術、自主知財の蓄積が大幅に進んでいます。更には、中国経済が「新常態」に入り、従来の労働・資源集約型の重厚長大産業を中心とした産業構造からの脱却、その為のイノベーションの推進政策に力点が移されています。そのような中国の経済環境の大きな変革の下、特許法の改正準備作業が進んでいると言えます。

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実施行為と非侵害規定(Bolar条項)

開発(臨床開発を含む)による特許権の「使用」ですが、例えば、ジェネリック企業が第三者の有する特許でカバーされる新規特許医薬品をその有効期間中に開発(特許発明の実施)することは、特許権者の権利を侵害することになるのか? これについては、米国では、特許法271(e)(Bokar条項)により、非侵害行為、日本でも、特許法に明文の規定はないものの最高裁の判例により非侵害行為と考えられています。 さて、中国では。

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中国特許法の第四次改正(前半)

今、第4次の特許法の改正に向けて議論が盛んです。前回の第3次の改正は、2009年になされました。それから6年が経過し、特許侵害訴訟の局面で、制度上の不備も指摘されています。中国で自主イノベーションの能力がある一定の水準に達しつつある今、イノベーションを軸に経済構造の展開を図らなければならない中国にとって、イノベーションを更に推進する為に特許制度の見直しが必須の情勢であるという社会的な背景があります。

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改良発明とグラントバック

ある基本技術Xについて、日本企業(ライセンサー)が中国で基本特許を有しており、当該特許に基づき、中国企業(ライセンシー)に契約地域を中国としてライセンス許諾がされることを想定してみましょう。中国企業のR&D能力が強化されつつある現状では、基本技術Xが製品であれ製造方法であれ、ライセンシーの中国企業は中国での基本特許のライセンス許諾を受けた後に、技術Xそれ自身の商品化を行うことと並行して、技術Xの技術改良に努めることも十分にありうると想定しておかなければならないでしょう。