Entries by 川本 敬二

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中国特許法の第四次改正(後半)-特許権の強化 vs 特許権の濫用

昨年 2015 年 4 月に中国特許庁より公表され、パブリックコメントを募った改正法案に基づき、その改正の方向性について、中国特許法の第四次改正案(前半)にて説明致しました。近年、中国の政府及び国内企業が研究開発の投資を積極化していることを受けて、中国国内の研究機関に於いて、自主技術、自主知財の蓄積が大幅に進んでいます。更には、中国経済が「新常態」に入り、従来の労働・資源集約型の重厚長大産業を中心とした産業構造からの脱却、その為のイノベーションの推進政策に力点が移されています。そのような中国の経済環境の大きな変革の下、特許法の改正準備作業が進んでいると言えます。

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実施行為と非侵害規定(Bolar条項)

開発(臨床開発を含む)による特許権の「使用」ですが、例えば、ジェネリック企業が第三者の有する特許でカバーされる新規特許医薬品をその有効期間中に開発(特許発明の実施)することは、特許権者の権利を侵害することになるのか? これについては、米国では、特許法271(e)(Bokar条項)により、非侵害行為、日本でも、特許法に明文の規定はないものの最高裁の判例により非侵害行為と考えられています。 さて、中国では。

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中国特許法の第四次改正(前半)

今、第4次の特許法の改正に向けて議論が盛んです。前回の第3次の改正は、2009年になされました。それから6年が経過し、特許侵害訴訟の局面で、制度上の不備も指摘されています。中国で自主イノベーションの能力がある一定の水準に達しつつある今、イノベーションを軸に経済構造の展開を図らなければならない中国にとって、イノベーションを更に推進する為に特許制度の見直しが必須の情勢であるという社会的な背景があります。

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改良発明とグラントバック

ある基本技術Xについて、日本企業(ライセンサー)が中国で基本特許を有しており、当該特許に基づき、中国企業(ライセンシー)に契約地域を中国としてライセンス許諾がされることを想定してみましょう。中国企業のR&D能力が強化されつつある現状では、基本技術Xが製品であれ製造方法であれ、ライセンシーの中国企業は中国での基本特許のライセンス許諾を受けた後に、技術Xそれ自身の商品化を行うことと並行して、技術Xの技術改良に努めることも十分にありうると想定しておかなければならないでしょう。

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中国ライセンス―海外からの視点

新製品を生み出す為に必要とされる基礎技術がより広範に、そして、より高度になってきており、これら全ての基礎技術を自社で開発・獲得し、単独で新製品の創出をしていくことは、非常に難しい時代になってきています。そこで、世界的な潮流として、オープン・イノベーションという概念が形成されています。中国は、「世界の工場」としての地位を基盤に、「世界における重要な商品・サービス市場」としての位置づけの認識が深まり、今後は、「世界の研究開発基地」としての飛躍が期待されているところです。そういった環境下、中国でも、他の会社・組織と連携しつつ新製品の創出を図る、オープン・イノベーションを積極的に図っていく必要性があると言われています。

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エボラ薬と中国特許強制実施権

中国では、4,5年前に中国の軍事医学科学院が見出したとされる抗エボラ・ウイルス薬JK-05について、四環医薬が技術移転を受け、臨床試験の開始を予定しているとの発表がありました。その後、日本の「アビガン」と中国の「JK-05」が実は同一化学成分である可能性があり、もしそうであれば、当該成分に関して、日本の富山化学が中国で特許を有していることから、四環医薬はその特許権を侵害することになるとの報道がされました。

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知的財産権の侵害と行政救済

第三者が自社の特許(実用新案権、意匠権も概念として含める)を侵害する製品を製造・販売している等の侵害行為をしている場合、その救済を求めるに当たり、中国では3つのルートがあり、中国特許法第60条以下に規定されています。先ず、①当事者の協議による解決を求めており、次いで②司法ルート及び③行政ルートで救済を求めることが出来るとしています。

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特許行政 / 北京政府 vs 地方政府

日本では特許庁が特許の主管庁として出願を受理し、審査、特許権の付与の業務を行うと同時に、特許政策の立案を主導しています。一方で、知的財産権の侵害事件等は、裁判所での処理、即ち、侵害に対する停止、損害賠償の請求等の救済措置は裁判所で実現、解決を図っていく制度をとっています。さて、中国ではどうでしょうか?

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中国の国際ライセンス契約と中国法制度―政府登録

日本側の声として、中国企業とライセンス契約を締結して、特許・ノウハウ技術のライセンスを許諾したけれど、一向に契約通りに履行してくれない。ライセンス契約上、中国企業(ライセンシー)から支払われる契約金(upfront money)も日本側の銀行に入金されるまで、果たして支払ってくれるのか否か、読めない、そういった不審の念を抱かれている方も多いと思います。然しながら、そもそも、契約の締結に至るまでに、日本側から契約条件の一方的な押し付けといったようなことは無かったでしょうか? 中国の法制度をきちっと理解した上で、契約交渉がなされたでしょうか? それを知っていれば、同じ条件を別角度から契約に落とし込んでいったかも知れません。今回は、先ず、中国企業とのライセンス契約に適用される中国法の概観、及び、契約登録制度について説明した上で、次回以降のテーマに繋げて、中国企業がキッチリと履行できるような契約の締結する為の道筋を探っていきたいと思います。

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中国産の発明 / 海外出願(中国国外への出願)

日本国内で生まれた発明は、どこの国で最初に特許出願をしようと、これは出願人の勝手です。米国の企業が、日本にある研究機関に研究を委託しそこから発明が生まれたと仮定しましょう。契約で当該委託研究から生まれた発明は米国企業に帰属すると合意していれば、米国企業は、最初の特許出願をどこでするのか自由に決定できます。一方で、米国国内で生まれた発明については、まず米国での出願が求められます。では、中国国内で生まれた発明についてはどうでしょうか?