医薬品業界の給料と転職事情


最終更新日: 2021/08/16

中国の医薬品業界は、コロナ・ウイルスの常態化に伴って社会の関心も高く、給料面でも高水準をキープしています。他業界と比較した医薬品業界の業界環境ですが、特徴点はスクラップ・アンド・ビルドの進行であって、二点あげられます。まずはジェネリック企業の淘汰・生産設備過剰の解消、そしてイノベーションの推進です。かかる背景の下、新薬、バイテク、受託業界(CRO, CMO, CSO)が注目されています。

そういったホットな環境下、医薬品業界内で転職する場合には、転職時の給料は20%アップ以上が一応の目安になっているようです。

給料の上昇率(2019年~2021年)

給料の上昇率

特にコロナ問題が発生した2020年の第一四半期以降、給料の上昇率は増加しており、2021年第一四半期には20%近い増加率となっています。

転職時の給料上昇率

北上深(北京、上海、深セン)では、転職時の給料上昇率が40%を超えており、それ以下、都市別のGDPランクとほぼ同じ順位となっています。

従業員の新規募集の際の給料等 / 都市比較

求人数は上海が群を抜いており、また給料の額についても北上深の3地域がトップ3を占めています。ただ先進国の医薬品業界の企業の給料と比較するといまだにかなり見劣り感があります。医薬品産業は今後の発展が見込まれていることから、従業員の給料も長期にわたって上昇を続けるであろうと見込まれています。なお、中国の新薬R&D・ビジネスは欧米の多国籍企業等での職務経験を経て中国に戻ってくるreturnee(海亀)が核となっていますが、彼らの給与水準は上記のレートとは別建てとなっています。returneeは、個人(米国時代の同僚等)ルートによる紹介、多国間を繫ぐ専門のリクルート会社を経由して、北上深の医薬品企業等に就職されています。今後、日本のエキスパートが中国で働かれるようになる日も近いと感じています。

Author Profile

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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