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香港IPO、2024上半期のまとめと今後の見通し

IPO
最終更新日: 2024/10/4

2024上半期のIPO件数(全産業セクター)は世界で551件(前年同期比-12%)、資金調達額の合計は522億米ドル(同-16%)でした。リージョンごとの内訳をみると特にアジア・太平洋のシェアが昨年に引き続き下がっています。しかし後述しますがその中でも香港市場は比較的に堅調でした。

ヘルスケアセクターのIPO概況

世界のヘルスケアのIPO件数は58件(同-6%)とほぼ前年と同じでしたが、資金調達額は89億米ドル(同+69%)と大幅に増加しました。これをみると、バイオテクノロジー部門は引き続き技術の進歩を続けており投資対象として注目されていることがわかります。特に抗がん剤や肥満治療薬といった新しい分野で投資が増えています。

例:ArriVent BioPharma

IPO市場:NASDAQ

調達金額:1 億 7,500 万米ドル

中国やその他の国で有望なシードを見つけ、米国市場に持ち込むのがこの企業のスタイル。主力製品は、上海の Allist Pharma から取得したEGFRチロシンキナーゼ阻害薬である furmonertinib。

香港市場IPO概況

香港市場では30件(同+3%)、19億米ドル(同-34%)と前年よりは減少しているものの世界全体の減少傾向とほぼ同じであり、アジア・太平洋地域全体の-43%、-73%よりはずっと良い状況でした。

香港では株式市場を含む金融市場の改革が続いています。その結果GEM市場(香港版NASDAQ)では3年半ぶりにIPOを迎えることができました。メイン市場もIPOの新しいプラットフォームFINI(Fast Interface for New Issuance)が稼働し始めました。FINIにおいては発行価格が決定した後、1日のグレーマーケットを経て上場となります。以前は5営業日で上場でしたので3営業日短縮されました。この短縮により市場全体の変動によるリスクは減りますし投資家の金利コストも減りますので、IPOには有利に働きます。また、これらの改革により、ハイテク企業のIPO促進および国際的な投資家の呼び込みが進む体制となりました。

例:QuantumPharm Inc.(晶泰科技)

IPO市場:HKEX

調達金額:1 億 2,670 万米ドル 

深センに拠点を置く人工知能(AI)を活用したデジタル創薬企業。Chapter 18C制度を利用した最初のIPOとなった。この制度は2023年3月に開始され、一定の基準を満たした専門テクノロジー企業の上場要件を緩和するもの。

例:Qyuns Therapeutics Co Ltd(荃信生物)

IPO市場:HKEX

調達金額:3,050 万米ドル

自己免疫疾患およびアレルギー疾患のバイオ治療に焦点を当てた後期臨床バイオ医薬品会社。

今年の香港IPO市場の見通し

今年後半になって香港市場におけるIPOは件数が増えています。6月時点では世界ランキングで13位でしたが、7-9月の資金調達額は上半期の3倍に増加した結果、9月時点では同5位に上昇しました。既に2024年の香港市場における資金調達額は2023年全体の調達額を超えています。

香港は2009年から2019年の間に7回も世界最大のIPO市場となったものの、その後はコロナ禍を経て金利の高まりと中国市場の低迷により不況に見舞われていました。しかし、ここ数ヶ月大型のIPOが続いており、例えば今年世界で2番目に大きいIPOとして美的集団が9月17日に香港取引所に上場しました。

残る3か月に予定されているIPOのリストを見ると、2024年は香港市場は世界で3位に入る可能性があります。

投稿者プロフィール

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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2024年10月4日/川本 敬二/IPO
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