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中国における「医療腐敗」取締りの現状

政策行政
最終更新日: 2024/11/26

2024年3月12日、中国の整形外科の権威である積水潭医院(北京)の元院長である田偉氏が当局に拘束されたことは、医療業界に大きなインパクトを与えました。自宅から多額の現金が見つかり、国内外に複数の別荘を所有していました。これまで、中国工程院の院士レベルの医師が汚職により逮捕されたことはありませんでした。これとは別に、雲南省の第一人民医院の元院長の王天朝氏も100軒を超えるマンションを受け取ったとされました。このように、2023年から始まった医療腐敗・汚職の取締りによって、おびただしい数の公立病院の院長、管理者、医師が逮捕されました。さらに、製薬会社や医療機器メーカー、医薬代理商・卸なども相次いで調査をうけました。これらには国内の多くの大手企業が含まれています。

以上の事例は、中央政府の腐敗防止機関である「中央規律検査委員会」が主導する一連の取締りであり、複数の医療機関・関係者が摘発されました。特に、医薬品や医療機器の販売に関連する不正行為がやり玉として挙げられ、病院の管理者が収賄、製薬企業の幹部が贈賄で摘発されました。これらの腐敗行為は、患者への過剰請求や、不必要な治療が行われる原因ともなっていました。

中国では、製薬企業と医師の間で賄賂の授受が行われることが多く、医師の患者への処方が不透明であったことが問題視されました。また、CTなど高価な医療機器導入による高額な贈収賄ケースも後を絶ちません。

最近では、医療従事者による不正行為が特に注目されています。たとえば、医師が患者に対して不必要な検査を推奨したり、治療費を過剰に請求したりするケースが報告されています。中国政府は、これらの問題に対して厳格な規制を敷き、医師免許の取消しや刑事告発を行うことで、医療業界のクリーン化を進めています。

これらの事例から分かるように、医療腐敗は中国における大きな課題であり、政府は腐敗を根絶するために様々な取り組みを行っています。特に医療従事者と製薬業界との癒着、過剰診療、不正薬な品の流通(納入の際の賄賂)などが問題視され、監査や法的措置を強化することで透明性の向上を目指しています。しかし、依然として腐敗の温床が存在するため、今後も引き続き取締りの強化が求められる状況です。集中購買のシステムが導入されているジェネリック等では賄賂問題はあまりみとめられませんが、集中購買の対象外の医薬品(新薬を含む)取引における取締りは今後も注意が必要です。

これらの取締りの根底には、医療費の高騰により国民の間に不満が溜まっていること、また、政府は財政状況が芳しくなく、医療保険費のこれ以上の負担が難しくなっていることがあります。

中国社会で医療機関等をめぐる賄賂の摘発は一時のピークは過ぎた感はあります。しかしながら、医療機関は警戒感を未だ緩めてはおらず、医薬品企業のプロモーション・納入工作等の業務の正常化にはもう少し、時間がかかる情勢です。

投稿者プロフィール

呉 晨
呉 晨
中国の大手製薬メーカーの白雲山製薬(広州)勤務後、日本の大学院に留学。ケアネット社で数年勤務後、中国子会社の社長として2012年上海赴任。その後、上海のCRO会社副社長兼CMC研究所長を経て、康祺生物科技有限公司社長に就任。日中両国間の医薬品の生産、研究開発、学術プロモーション等の分野に精通。
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