日本人には想定外―中国の新薬R&Dの最近の変化2022年5月31日/川本 敬二/医薬市場中国の経済規模(GDP)は10年前に日本を追い越し、その後米国を追いかけ、昨年は米国の75%にまで迫りました。一方で一人当たりのGDPは日本の数分の一。平均レベルは低い一方で、日本のリッチな方々の上を行く富裕層も中国には分厚く存在するのもまた事実です。 中国の新薬R&Dも全体の経済規模の膨張を体現しているような様相を呈してきました。 2015年に始まった中国の医薬品産業に関する行政・政策(薬事、知財、一般法等)の大きな舵切りによって、その後、中国の新薬R&Dは想定外の飛躍をみています。公表されているNMPA(薬事当局)の年報をベースに過去からの変化を辿ってみたいと思います。 1.INDの申請数 中国での新薬のIND申請数は、10年前は30件だったのが、2021年は640件に上りました。 下記の通り、2015年の政策転換を契機にIND申請数は2017年に大幅増、そしてここ3年 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 0 0 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2022-05-31 10:34:532022-05-31 10:34:54日本人には想定外―中国の新薬R&Dの最近の変化
中国医薬品企業の規模の膨張2022年1月18日/川本 敬二/医薬市場日本の医薬品企業は営業・R&D部門も含め、近年、規模の縮小に走っている感があります。 一方で中国の企業は、新薬の研究開発、ビジネス化に向けて規模の拡大に走っています。 中国のCRO業界の雄である薬明康徳 (Wuxi) は、昨年一年間だけで従業員数が8500人増加しました(2022年JP Morganでの発表)。従業員総数は3万5千人となり、そのうち研究開発要員は80%を占めており2万9千人です。コロナにより一昨年来、日本の医薬品企業を含めグローバルに各社の研究所が閉鎖に追い込まれた時期がありました。各社は、自社研究所の代替としてCROに研究を外注する方向に動き、中国のCROはどこも活況に沸きました。薬明康徳の従業員数の激増は、そのようなグローバルの動きを端的に反映していると思われます。 さらには、新薬の癌ベンチャーの雄である百済神州(Beigene),低分子・抗体新薬を広くカバーし [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2021/08/画像1-1.png 504 735 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2022-01-18 16:49:002022-05-19 17:43:38中国医薬品企業の規模の膨張
2021年総括−中国企業のNDA新薬申請2022年1月17日/川本 敬二/R&D新薬|医薬市場中国社会は、政府の号令下に各分野でイノベーション推進にうなされていると言ってもいいような状況にあります。新薬の研究開発分野もご多分に漏れず、ここ数年の間に大きな進展を見ています。 2021年、中国の内資企業の新薬(新規有効成分NCEを含む薬剤/一類)のNDA申請(上市の為の承認申請)件数は、16件でした。日本の内資企業の日本へのNDA申請件数、比較データがないのですが、中国企業の数字もそこそこの所に来ているといった印象です。 申請企業 / 癌適応症等 NDA申請がされた薬剤の適応症は、約半分が癌領域です。NDA申請をした企業別の癌適応症は、下記の通りです。 会社 癌のdrug target(癌の適応症) 恒瑞医薬(Hengrui) CDK4/6(乳癌) 同上 AR(前立腺癌) 倍而達薬業(Beta) EGFR-T790M(非小細胞肺癌) 璎黎药业(Yingli) PI3Kδ(リンパ腫) 銀 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/back01.jpg 2400 3600 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2022-01-17 17:11:002022-05-19 17:20:472021年総括−中国企業のNDA新薬申請
【恒瑞医薬】収益鈍化―新薬の医療保険収録が影響2021年12月13日/呉 晨/企業分析|医薬市場中国の医薬品業界のリーディング・カンパニーともいえる恒瑞医薬(Hengrui Medicine、600276.SHA)が2021年第三四半期(7月~9月)の決算を発表、純利益は2000年上場後としては初めての減少となりました。 2021年第三四半期の売上高は69億元(通期は202億元)で前年同期比14.84%減(同4.05%増)、純利益は15.4億元(同42.1億元)で前年同期比3.57%減(同1.21%減)となった。 多くの中国製薬企業と同様に恒瑞医薬もジェネリック・メーカーからスタート。いち早く新薬のR&Dを手掛け、今まで数多くの新薬を市場に送ってきた。ジェネリック薬から新薬への転換といった近年の大きな流れの中で恒瑞医薬は先駆的な役割を演じてきたことから中国製薬企業の模範ともされ、株式時価総額もトップとなっている。ここ数年、中国では医薬品の集中購買制度が実施され、この制度改革に [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2021/08/画像1-1.png 504 735 呉 晨 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 呉 晨2021-12-13 17:59:002022-05-26 17:59:06【恒瑞医薬】収益鈍化―新薬の医療保険収録が影響
医薬品業界の給料と転職事情2021年8月10日/川本 敬二/医薬市場中国の医薬品業界は、コロナ・ウイルスの常態化に伴って社会の関心も高く、給料面でも高水準をキープしています。そういったホットな環境下、医薬品業界内で転職する場合には、転職時の給料は20%アップ以上が一応の目安になっているようです。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2021/07/pexels-edward-jenner-4031824-1.jpg 985 1500 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-08-10 07:47:002021-08-16 12:03:38医薬品業界の給料と転職事情
中国ジェネリック企業の変化と海外進出2021年7月5日/川本 敬二/医薬市場2015年からの中国の薬事制度改革で、中国の医薬品企業(ジェネリック企業)は大変貌を遂げており、品質向上、生産コストの圧縮、そして国際化の道を走っています。現在、中国では知財保護政策の具体化が進んでいますが、政策の中心である「特許期間の延長」、「Patent Linkage」、「データ保護制度」は先発の新薬の開拓者利益と後発のジェネリック薬の廉価な薬剤提供に対する利益配分をどうやってバランスさせるかの課題でもあることから、中国の新薬の知財制度の理解のためにも、中国ジェネリック薬の動向については目を離せません。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/back01.jpg 2400 3600 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-07-05 08:22:002022-05-19 17:43:54中国ジェネリック企業の変化と海外進出
医療IT企業四天王とそのサービス内容2021年7月2日/川本 敬二/企業分析|IPO|医薬市場中国ではどの分野であれ、新しいビジネスチャンスがあると言われる領域には多くの企業が一気に参入し巨額の資金が集中投入されます。医療ITも数年前から各社乱入とも言える状況で新ビジネスの立ち上げがあり、その多くが淘汰され、現在生き残りつつあるのはネット巨大企業のアリババや京東が運営するプラットフォーム、有名な薬局チェーン、医薬品の製造流通企業のそれです。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2021/07/pexels-edward-jenner-4031824-1.jpg 985 1500 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-07-02 14:39:112021-07-02 15:21:43医療IT企業四天王とそのサービス内容
中国における創薬技術の曙2021年6月14日/本間 靖/医薬市場2010年以来の中国の医薬品産業の急成長は海亀族と呼ばれる人材の活躍によるところが大きい。この成長は1970年代以降の日本の状況に似ており、それまでの輸入医薬品の販売から自社製品の研究開発に舵を切って大きく収益力を上げた。しかし、比較してみると中国のさらなる成長の可能性が見えてくる。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/back01.jpg 2400 3600 本間 靖 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 本間 靖2021-06-14 08:35:002021-06-13 13:00:15中国における創薬技術の曙
中国企業の平均年収と医薬品業界の位置づけ / 将来の日本人の職場になり得るか?2021年5月27日/川本 敬二/医薬市場中国の国家統計局から2020年の業界別の全国平均賃金が発表されました(5月19日)。賃金に何が含まれているか、さらには物価も違いますので、日本のそれと金額を単純に比較するのは難しいと思います。また、中国の方々の収入は上と下の格差が非常に大きいので、そもそも平均値の代表性については日本ほど高くはないのかもしれません。例えば、「上海・北京・深圳」の給料と「瀋陽・武漢・ウルムチ」の給料の間には大きな地域差があります。ただし、中国国内の業界、職位別でその差がどうなっているかの理解の一助にはなると思い紹介します。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/back01.jpg 2400 3600 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-05-27 08:14:002022-05-19 17:44:08中国企業の平均年収と医薬品業界の位置づけ / 将来の日本人の職場になり得るか?
中国国産のPD-1免疫チェックポイント阻害剤(抗癌剤)と医療保険2021年5月20日/川本 敬二/企業分析|R&D新薬|医薬市場|政策行政今、ホットなPD-1癌免チェックポイント阻害剤(抗癌剤)、中国は自主R&Dによる新薬が、4製品既に承認・上市済です。ポイントになる保険適用ですが、今年(2021)年3月から適用の医療保険リストには、これら4製品の全てが収載されています。従来は、新薬の承認が下りれば、まず病院に納入され、患者は自己負担で使用します。そして実績を作ってから、その数年後にやっと医療保険リストに収載され、保険償還されていました。日本では新薬の承認と薬価収載はセットでされますが、中国では、近年やっと承認後、短期間で新薬に保険が適用される時代が到来しました。これによって、薬価は大幅に引き下げられましたが、新薬の市場は大きく拡大すると言われています。 [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/back01.jpg 2400 3600 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-05-20 08:12:402021-05-26 13:37:56中国国産のPD-1免疫チェックポイント阻害剤(抗癌剤)と医療保険
中国企業の新薬ライセンスイン(導入)一覧2021年5月19日/川本 敬二/医薬市場|ディール今から遡ること50年、1970年代の日本の製薬産業は新薬のR&Dの本格的な勃興期、多くの企業は未だ海外からの導入品が各社の稼ぎ頭だった時代に、各社が自社研究を拡大する為に中央研究所を建設しました。それから30年経過後の21世紀に入っても中国では各社の稼ぎ頭はジェネリック品、それを巨大な工場で生産していました。その頃から新薬研究所の種蒔きが始まり、それから20年経過した今、新薬研究開発に火が着いています。ただし、今の中国は日本の50-40年前とは火の着き方が多少違っています。日本で火の着いたころは、大手の製薬企業が欧米から上市済の新薬をライセンスイン(導入)しながら、並行して自社で自社品のR&Dを実行していくのが主流でした。これに対して中国の今は、世界の潮流が変わり、ベンチャー・キャピタルの投資マネーが駆動となって、小規模の小回りの利くバイオベンチャーが自社の研究所を立ち上げ [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2017/07/8735317_xxl.jpg 2832 3814 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-05-19 08:46:002021-05-18 19:04:00中国企業の新薬ライセンスイン(導入)一覧
中国CRO各社の2020年度業績・活用について2021年5月17日/川本 敬二/企業分析|医薬市場中国のCRO(受託で試験研究を行う会社)・CDMO(受託で化合物・治験薬等を製造する会社)各社の2020年度業績が公表されました。公表されている29社の売上高の総額は、前年比35%伸びています。中国では、このCRO・CDMOは一般に下記のカテゴリーに分けられます。① 新薬の前臨床試験を広く受託する総合型CRO・CDMO、② ジェネリックの試験を受託する総合型CRO・CDMO、③ 低分子化合物等のCDMO、④ バイオ系のCRO・CDMO、⑤ 薬理・毒性に特化した試験を受託するCRO、⑥ 臨床試験を受託するCRO(clinical CRO) [続きを読む]Read more https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2021/05/fdb0ec4ad837ff43f9b7ef5380c90fab.jpeg 599 1080 川本 敬二 https://www.kawamotobbp.jp/wp-content/uploads/2022/05/logo_black.png 川本 敬二2021-05-17 08:21:002021-05-18 16:39:33中国CRO各社の2020年度業績・活用について
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