IND承認済みCOVID-19の中国国産mRNAワクチン
4月上旬、中国の2社の自社技術開発による新型コロナに対するmRNAワクチンの臨床試験の開始申請(IND)が当局(NMPA)によって相次いで承認されました。
一つ目が石薬集団(CSPC)が自社開発したmRNAワクチン(SYS6006)です。安定性が良く、2-8度での長期保存が可能とされています。また変異株に対しての有効性も示しているとのこと。石薬集団は脂質ナノ粒子等のDDSプラとフォーム技術を有しており、これまでにもこの技術をベースに4剤の新薬を世に出しています。今回、このDDS技術を適用してコロナワクチンの開発を進めてきました。
二つ目は康希諾生物(CanSinoBIO・カンシノ)、同様に自社開発によるmRNAワクチンです。康希諾生物(CanSinoBIO)は、ヒトのアデノ・ウイルス5型をベースにしたワクチンベクターを用いた、COVID-19ワクチン(Ad5-nCoV)を2021年12月に中国で条件付き承認を取得しています。それに続くmRNAワクチンとなります。
なお、上記二社以外にも斯微生物(Stemirna) がmRNAワクチンのIND申請を準備中と言われています。斯微生物(Stemirna) は、mRNA企業として、ナノ脂質DDS技術をベースに、2016年に上海で設立されたベンチャー企業です。
Author Profile
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弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)
藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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