政策行政

LAW

新薬特許の無効【中国のパテントリンケージ制度②】

中国ではパテントリンケージ制度の導入にあたって、ジェネリック企業に対してアメを与えています。新薬の特許が満了する前に、当該新薬特許は無効であると主張してジェネリック薬の上市の承認を求める申請(ジェネリック申請)を行い、実際に「ジェネリック申請段階の特許侵害審理」で特許無効の主張が認められ、かつNMPAでの審査でジェネリック申請が認められて「最初」の上市の許可が付与された場合、当該「最初」のジェネリック薬に対して、1年間の独占販売権が与えられます。したがって、この1年の独占期間中は新薬と最初に承認されたジェネリック薬の二剤のみしか市場に出ないことになり、最初のジェネリック薬に営業上大きなメリットをもたらします。 [続きを読む]

「双通道」と医療保険(医薬品の保険適用の促進)

前回の記事の通り、PD-1等の高価な新薬を含む抗癌剤に対して保険適用がされるようになりました。しかしながら、2018年-2019年に医療保険リストに収載(保険収載)された新薬等が実際に病院で処方されている比率は25%に留まっているという現状があります。保険収載されても処方されない、なぜそうなるのか複数の理由が挙げられていますが、その一つが薬剤費比率の抑制策です。各病院では、ある新薬を採用し処方を開始する場合、まず、それまで処方されていた薬剤の納入を終了する等の措置がされているのが実態ですので、特に高価な新薬の場合は、新規の採用が非常に難しくなります。当該新薬の病院での処方がなかなか進まず、患者からもクレームが出ていました。 [続きを読む]

ジェネリック医薬品の承認申請の審査中に発生した特許侵害紛争の早期解決システム【中国のパテントリンケージ制度①】

2021年5月18日に、NMPA(審査部門CDE)よりパテントリンケージシステムの肝となる「特許情報プラットフォーム」がネット上に公表され、5月末までを試行期間としました。中国で新薬の開発が終わり、NMPAに承認申請をする際、新薬の開発を行った企業(新薬企業)が当該新薬をカバーする特許(新薬特許)をこの特許情報プラットフォームに入力し、その特許情報が公衆に公開されます。そして、ジェネリック企業は新薬特許の満了日を睨みながらジェネリック薬の開発を進めることになります。しかしながら、ジェネリック企業は新薬特許の満了に先立って、新薬特許は無効であるとか、ジェネリック薬は新薬特許を侵害しないと主張(声明)し、NMPAに対しジェネリック薬を承認申請することが可能です。この声明も同時に特許情報プラットフォームに掲載されます。 [続きを読む]

中国国産のPD-1免疫チェックポイント阻害剤(抗癌剤)と医療保険

今、ホットなPD-1癌免チェックポイント阻害剤(抗癌剤)、中国は自主R&Dによる新薬が、4製品既に承認・上市済です。ポイントになる保険適用ですが、今年(2021)年3月から適用の医療保険リストには、これら4製品の全てが収載されています。従来は、新薬の承認が下りれば、まず病院に納入され、患者は自己負担で使用します。そして実績を作ってから、その数年後にやっと医療保険リストに収載され、保険償還されていました。日本では新薬の承認と薬価収載はセットでされますが、中国では、近年やっと承認後、短期間で新薬に保険が適用される時代が到来しました。これによって、薬価は大幅に引き下げられましたが、新薬の市場は大きく拡大すると言われています。  [続きを読む]

海南省でRWD/RWS開始、 海外上市済薬剤の承認申請が加速

海南省において経済成長の柱は、医療、旅行・バケーションとして、低炭素/生態系保存の社会体系を構築し、国際的な機関が集結する地域を目指すとしています。「医療」の目玉の一つが、新薬・医療機器の承認・市販後調査に関し、海南島を起点として中国全土に展開する、RWD(Real World Data:リアルワールドデータ)のプラットフォームを構築するというものです。RWD(Real World Data)ですが、プロトコールで制御された臨床試験により得られるデータに限定されず、医療の現場で実際に医薬品・医療機器が患者に使われた際に生まれるデータを意味します。そういったデータを新薬等の承認審査に利用していこうという構想です。  [続きを読む]

国家戦略地域として新たな発展を遂げる海南省

海南島は、中国の最南端にある中国最大の島で、面積は台湾とほぼ同じ、そして、政治的に注目を浴びている南海に向かって浮かんでいます。従来の印象としては、新婚旅行で行く美しい海岸、それと、欧州のダボス会議に対抗してボアオ・アジア会議が開催される所、くらいの印象でした。ところが、2020年に「海南島」が国家戦略地域に指定され、自由貿易地区を展開すると宣言されてから、俄然、経済的にも注目される地域となってきました。 [続きを読む]

科創板の上場要件(IPO要件)(上海証券取引所・科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market))

科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market)がこの6月に創設2周年を迎えます。3月末までに、IC集積回路、医薬バイオ、新素材、ハイエンド製造等の分野の251社がIPOに成功しました。内56社が医薬バイオ関係会社です。全体の中で医薬バイオ関連企業が占める割合は22%です。一方で、これまでに95社がIPO申請を取り下げており、内11社が医薬バイオ関連企業です。特に直近の3か月にIPO申請の取り下げは、57社と相次ぎました。 科創板の上場中止が相次いだ原因 こうしたIPOの中止や取り下げは、科創板(Star Market)の「上場基準(IPO)」の変更、厳格化に起因しています。 [続きを読む]

処方薬の電子商取引(医薬品のネット販売)の具体化について政策が発表される

「六保、六穏」とは、2018年に中国政府が打ち出した政策で、国民の就業機会および生活の基本等を「確保」することによって、企業が事業を行うビジネス環境の整備・「穏健」化を図り、投資の推進に結び付けようというものです。この政策実施の一環として、2021年4月15日に国務院が新たに政策文書を発表しました。 「六穏」「六保」の基本政策概念を更に進めて行政管理の簡素化を推進する為の指針(关于服务“六稳”“六保”进一步做好“放管服”改革有关工作的意见)国办发〔2021〕10号 [続きを読む]

中国での医薬品知財の動向と特許法の第四次改正(前半) ~ 特許法の第四次改正法案の公表(2020年7月)を受けて

医薬品の分野が、米中間で政治問題化している通信・IT分野と異なっている所は、中国が医療分野で大きな国内問題を抱えていており、その制度改革と表裏一体の関係にあることです。医薬品の流通、薬価、保険、製品の品質等の問題がそれです。 この記事では改革の方向性や知財制度改正の3つのポイントを取り上げます。 [続きを読む]

中国特許法改正案が提出されました

12月5日、李克強総理は国務院常務会議を司会、《中華人民共和国特許法改正案(草案)》(中国語:中华人民共和国专利法修正案)を可決し、草案を2018年12月23日〜29日に開催予定の全国人民代表大会常務委員会に提出することを決定しました。今回国務院を通過したこの特許法改正案には3つの注目点があります。 [続きを読む]

新薬データ保護期間の新法案と動向のまとめ

2018年5月に非臨床・臨床の試験データの保護制度に関する法案が公表されました。最長で12年の保護期間が与えられます。この記事ではこの法案の詳細について、またデータ保護政策の流れについて解説しています。 [続きを読む]

5月1日より抗がん剤の関税を撤廃

国務院常務会議において李克強総理は抗がん剤の関税をなくすと発表し大きな話題になりました。しかしよく調査してみるとこれだけではあまり実効性のある政策ではありません。他の2つの政策と組合せることによって、実効性と話題性を持たせることに成功しています。この政策の背景についても解説しています。 [続きを読む]