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科創板の上場要件(IPO要件)(上海証券取引所・科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market))

IPO, 政策行政
最終更新日: 2021/08/20

科創板(The Science and Technology Innovation Board; STAR Market)がこの6月に創設2周年を迎えます。3月末までに、IC集積回路、医薬バイオ、新素材、ハイエンド製造等の分野の251社がIPOに成功しました。内56社が医薬バイオ関係会社です。全体の中で医薬バイオ関連企業が占める割合は22%です。従来、香港、アメリカに向かっていたベンチャー企業等が上海のIPO市場に向かう流れとなっています。一方で、これまでに95社がIPO申請を取り下げており、内11社が医薬バイオ関連企業です。特に直近の3か月にIPO申請の取り下げは、57社と相次ぎました。

科創板への上場を中止した件数の推移

科創板の上場中止が相次いだ原因

こうしたIPOの中止や取り下げは、科創板(Star Market)の「上場基準(IPO)」の変更、厳格化に起因しています。

2021年4月、科创板(Star Market)の「サイエンス本質のイノベーション評価」等の規則(注1)が改正となりIPO基準が厳格化されました。IPOを目指す企業が有しているサイエンス(科学)の本質がどれだけイノベーティブ・創造性を秘めているか、形式面に加えて実質面を重視して証券取引委員会がIPO可否の評価をするというものです。従来、中国の医薬バイオベンチャー企業は、海外、特に米国から新技術のライセンス導入を活発化していました。そして、投資会社から資金を集めて臨床開発を進めることにより自分で中国での上市を目指すか、または、プロジェクト価値を上げてから他の中国企業にサブライセンスを付与して、その利ザヤを稼ぐ、といったビジネスモデルが数多くみられ、そういった企業が実際にIPOを実現していました。しかしながら、今回のIPO基準の変更等により、上記のビジネスモデルの企業もイノベーションの視点から実質評価されることになり、上場が難しくなった結果として上場中止が相次いだというわけです。

これまで、中国企業がIPO狙いで日本から新技術を買うということも行われてきました。 しかしながら、単にその目的で買うということは、今後難しくなってくると思われます。

「サイエンス本質のイノベーション評価」に関連して、具体的に挙げられているIPO基準(改正後)の指標は、① 研究開発費(R&D費用)の金額、② 研究開発要員の人員数、③取得している特許の数、について、一定の数的・量的な基準を設定し、その要件を満たしている事としています。

それに加えて、① IPO申請企業のコア技術の先端度、② コア技術者のレベル、③ 中国の国家重要科学技術プロジェクトの一端を担っているか、④ コア技術により生まれる新製品等が国家の推進している重点領域に入っていて、従来の輸入品を置き換えることが出来るか、⑤ 特許発明が合計50件以上であること等の要素を加味して総合判断するというものです。

今回のIPO基準の改正によって、IPO申請の審査時間が長くなる一方、本質的な技術力を持っていると評価された企業のみIPOを成功できるようになります。

注1:「サイエンス本質のイノベーション評価」 等の規則 :

  • 中国証券監督管理委員会《科创属性评价指标》(2021年4月16日):全文PDFはこちら
  • 上海証券取引所《科创板企业发行上市申报及推荐暂行规定》(2021年4月16日):全文PDFはこちら

これは、科創板(Star Market)の「上場基準(IPO)」の変更、厳格化に起因している面があります。

投稿者プロフィール

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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2021年5月10日/川本 敬二/IPO|政策行政
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