川本バイオビジネス弁理士事務所
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最新情報

医薬品特許期間の延長制度について全人代・両会で議論される

中国では3月11日、全人代(中国の立法府/全国人民代表大会)が閉幕、その後例年通り首相の李克強が国内外のメディアに対する記者会見を長時間にわたって行いました。中国の安定的な経済発展の実現に向けた強い覚悟を感じさせる鬼気迫る会見でした。ウクライナ情勢の話題も出ましたが、多くは経済・民生問題に時間が割かれました。経済問題はGDP5.5%増の目標値の説明から始まり、雇用・就業問題、イノベーション推進と多岐にわたりましたが、随所に「大会での経済界との協議・要望を踏まえて~、」との言葉がありました。 [続きを読む]

IND承認済みCOVID-19の中国国産mRNAワクチン

4月上旬、中国の2社の自社技術開発によるCOVID-19に対するmRNAワクチンの臨床試験の開始申請(IND)が当局(NMPA)によって相次いで承認されました。

一つ目が石薬集団(CSPC)の自社開発にかかるmRNAワクチン(SYS6006)です。安定性が良く、2-8度での長期保存が可能とされています。また変異株に対しての有効性も示しているとのこと。石薬集団は脂質ナノ粒子等のDDSプラとフォーム技術を有しており、過去、かかる技術をベースに4剤の新薬を世に出しています。今回、かかるDDS技術を適用してコロナワクチンの開発を進めてきました。

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中国医療保険と医薬品企業の打開策

日本の健康保険組合では、従業員の賃金が頭打ちになっていることから支払われる保険料の収入が伸び悩んでいます。他方、薬剤費を含む高齢者医療への支払い等の増加により健康保険組合の財政が悪化しています。さて中国では、医療保険の財政はどうなっているのでしょうか? [続きを読む]

中国の新薬ビジネスはどこへ向かう?/新五か年計画(下)

「14次医薬産業五カ年計画」の特徴・内容 / 「13次計画」からの変化について。前回の13次計画は、工業情報部、発展改革委員会、科学技術部、商務部、衛生健康委員会、NMPA(国家医薬監督管理局)でした。それに加えて、今回の14次では、医療保険局、漢方管理局、緊急事態治安局が加わり、合計9組織が策定に参加しました。即ち、国家計画の策定部署・情報化・科学技術・通商産業・厚生・薬事等の主管部署に加えて、医療保険、漢方・中医、危機対応の部署が追加されたことになります。 [続きを読む]

中国の新薬ビジネスはどこへ向かう?/新五か年計画 (上)

中国の経済成長は、ポジティブにもネガティブな意味でも国家主導の色合いが濃いと言えます。それは、丁度、日本の高度成長期の通産省等の政府主導の経済運営による企業の発展、そういった時代の日本の成長に重なって見えます。中国の国家計画とそれに基づく、各業界の五か年計画は、そこに書かれているシナリオに従って国が資金を流し、政府が各企業に対して諸々のサポートをして行くという意味で非常に重要です。中国企業は、この計画に従って企業運営をしていけば利益に繋がっていくことになりますので、五か年計画は「決して」無視できない存在となっています。 [続きを読む]

中国のAI創薬、発展期 / 中国IT巨頭のBATHが参入

今、グローバルにAI技術と創薬技術の融合によるプラットフォーム技術の研究開発が進んでいます。中国は基本技術分野としてのIT、ビッグデータ処理、AI分野で今後、世界の先端を行くことが期待されていますが、医薬分野では、AI創薬ベンチャーへの投資、事業参入が活発に動いています。 [続きを読む]

中国医薬品企業の規模の膨張

日本の医薬品企業は営業・R&D部門も含め、近年、規模の縮小に走っている感があります。 一方で中国の企業は、新薬の研究開発、ビジネス化に向けて規模の拡大に走っています。 中国のCRO業界の雄である薬明康徳 (Wuxi) は、昨年一年間だけで従業員数が8500人増加しました(2022年JP Morganでの発表)。従業員総数は3万5千人となり、そのうち研究開発要員は80%を占めており2万9千人です。コロナにより一昨年来、日本の医薬品企業を含めグローバルに各社の研究所が閉鎖に追い込まれた時期がありました。各社は、自社研究所の代替としてCROに研究を外注する方向に動き、中国のCROはどこも活況に沸きました。薬明康徳の従業員数の激増は、そのようなグローバルの動きを端的に反映していると思われます。 さらには、新薬の癌ベンチャーの雄である百済神州(Beigene),低分子・抗体新薬を広くカバーし [続きを読む]

2021年総括−中国企業のNDA新薬申請

中国社会は、政府の号令下に各分野でイノベーション推進にうなされていると言ってもいいような状況にあります。新薬の研究開発分野もご多分に漏れず、ここ数年の間に大きな進展を見ています。 2021年、中国の内資企業の新薬(新規有効成分NCEを含む薬剤/一類)のNDA申請(上市の為の承認申請)件数は、16件でした。日本の内資企業の日本へのNDA申請件数、比較データがないのですが、中国企業の数字もそこそこの所に来ているといった印象です。 申請企業 / 癌適応症等 NDA申請がされた薬剤の適応症は、約半分が癌領域です。NDA申請をした企業別の癌適応症は、下記の通りです。 会社 癌のdrug target(癌の適応症) 恒瑞医薬(Hengrui) CDK4/6(乳癌) 同上 AR(前立腺癌) 倍而達薬業(Beta) EGFR-T790M(非小細胞肺癌) 璎黎药业(Yingli) PI3Kδ(リンパ腫) 銀 [続きを読む]

【恒瑞医薬】収益鈍化―新薬の医療保険収録が影響

中国の医薬品業界のリーディング・カンパニーともいえる恒瑞医薬(Hengrui Medicine、600276.SHA)が2021年第三四半期(7月~9月)の決算を発表、純利益は2000年上場後としては初めての減少となりました。 2021年第三四半期の売上高は69億元(通期は202億元)で前年同期比14.84%減(同4.05%増)、純利益は15.4億元(同42.1億元)で前年同期比3.57%減(同1.21%減)となった。 多くの中国製薬企業と同様に恒瑞医薬もジェネリック・メーカーからスタート。いち早く新薬のR&Dを手掛け、今まで数多くの新薬を市場に送ってきた。ジェネリック薬から新薬への転換といった近年の大きな流れの中で恒瑞医薬は先駆的な役割を演じてきたことから中国製薬企業の模範ともされ、株式時価総額もトップとなっている。ここ数年、中国では医薬品の集中購買制度が実施され、この制度改革に [続きを読む]

【康希諾生物】Aerogenと世界初のCovid-19ワクチン吸入式薬物送達システムの開発と供給提携に合意

康希諾生物(CanSinoBIO、688185.SSE, 06185.HKEX)はアイルランドのAerogenと提携し、新型コロナウイルス用のワクチンを吸入送達する技術の開発と供給を発表しました。 康希諾生物の開発したCovid-19ワクチンConvideciaを、Aerogen独自の振動メッシュ エアロゾル ドラッグ デリバリー システムを利用して患者の気道に直接吸入します。この経路はコロナウイルスの自然感染経路を模倣しており、粘膜免疫を生成することで追加の利点を生み出す可能性もあります。 康希諾生物が実施した第3相臨床試験の中間結果は、Convideciaの吸入ワクチンが単回ワクチン接種の14日後に重篤症状を予防するのに95.47%の有効性を持っていることを示しました。 吸入エアロゾルDDSによる接種は使用するワクチンの量がかなり少ないため、注射を使用した場合よりもはるかに多くの患者が [続きを読む]