三か所での上場(IPO)へ

中国の癌ベンチャーの雄である百济神州(Beigene)は、6月末に上海の科創板(https://www.kawamotobbp.jp/articles/1300)の上場申請の実質審査をパスしました。 Beigeneは2010年に創業し、その後2016年にNASDAQ、2018年に香港で上場を果たしています。上海で上場すれば3つの取引所で上場を果たした最初の医薬品企業となります。米国、香港ではその上場時の株価に比較して、現在上げ幅はそれぞれ1392%、100%となっており、株価総額は米国で3兆6千憶円、香港で1兆5千億円です。今回屋上屋を重ねて上海へ。貪欲です。

過去、A+H(A:上海・深圳のA股、H:香港のH股)の二か所で上場した企業は、下記の通り君实生物(Junshi bio)、康希诺(CanSino Bio)、复旦张江(Fudan-Zhangjiang)の三社です。

Beigeneは今回の上海での上市で3400億円強の資金調達を狙っており、この額は2018年香港上市時の調達額が990億円だったことから4倍近い資金調達を計画していることになります。

研究開発費と負の影

2019年に広がった噂、2017年第四半期以降の売上高の60%に捏造との噂が駆け巡るとNASDAQの株価は13%下落し香港でも下落に次ぐ下落でした。背景としては研究開発費の高騰、新薬の市場への新規参入に伴う巨額の営業コストの投入といった経費・費用の止まることを知らない増加がありました。

年度2017年2018年2019年2020年
研究開発費280億円780億円1100億円1400億円
営業経費14億円83億円238億円289億円 (1-9月)

資金の獲得

上記の研究開発費等の捻出のために積極的な資金獲得に動いています。

2019年11月には、Amgenは約2900億円を投入してBeigeneに資本参加(20.5%)。翌2020年7月、Beigeneは増資により2300億円を調達(Amgenも参加)、そして今回の上海の科創板へのIPOです。

新薬群

Beigeneの研究開発に係る国産第一号のBTK阻害剤は、2019年11月米国で上市し次いで翌2020年6月に中国で上市されました。PD-1抗体は2019年12月に上市。そしてPARP阻害剤が2021年5月上市と続いています。これら3品とも欧米系外資の製品と激烈なる市場競争の環境下にあります。

上記の3品以外にも臨床開発・申請段階のプロジェクトが47件あります。その内自主開発品が8品目、第三者との提携品が36品目です。2021年末までに12品目の新薬を上市に持ち込むとしています。

中国企業の課題である国際化についても急速な進展を見ています。2021年1月にはPD-1抗体をノバルティスにライセンス許諾し、upfront:715億円を獲得、ディール総額は2420億円に達するとの事。中国国産の新薬としては記録的な数字を達成しました。

新薬を創出する為には長期にわたる研究開発費の投入が必須です。中国で桁違いに大きな資金を獲得できる環境下、Beigeneは大きなチャンスを掴んでいると言えます。

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