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中国2022年上半期、それでも医薬30社がIPOを果たす!

IPO, 医薬市場
最終更新日: 2022/07/9

1.全体情勢

バイテク企業の資金調達を取り巻く環境、山あり谷あり、ですが今は全世界的に我慢の時代に突入しており、アメリカでも多くのバイテクがリストラ・プロジェクトの売却等に走っています。米国のインフレや利上げで米国の投資資本が世界的に引き潮になっており、中国・香港も例外ではなく、米国マネーが逃げております。

中国の未公開のバイテク企業への投資は、まず中国に長らく根を張っている米国系の投資会社が対象の医薬技術・人(トップ)の目利きの役割を果たしてシード投資、その後中国系のマネーがどっと入って来るのが一つの典型例です。そして中国のIPO市場としては、規模が最大で重要な香港市場でもやはり米国系マネーが大きな役割を果たしてきました。ところが昨年の秋以降、米国マネーの潮が引き、さらに中国の国内的な要因も重なり、未公開企業への投資およびIPO市場が冬の時代に入っています。

2.上海・深センでのIPO

そんな中にあって、上海や深圳の株式市場は健闘しており、2022年上半期、投資総額では全世界のトップとNo.2の地位を占めるに至りました。医薬分野ではこの上半期に26社がIPOを果たしました。株式市場別の内訳は下記の通りです。

株式市場IPOを果たした医薬企業の数
創業板(深セン) ChiNext10社
科創板(上海) The Science&Technology Innovation Board9社
香港株式市場5社
上海主板2社

各株式市場でのIPO時の調達額(会社別)は下記のとおりです。以前の香港市場でのIPOと比べても控えめな数字との印象は否めませんが。

1)香港、深セン(創業板)

IPO企業(2022年上半期)調達額(億円)
誠達薬業351
采納136
華康医療217
華蘭ワクチン455
西点薬業91
何氏眼科260
泰恩康235
富士莱221
天益医療102
普蕊斯140

2)上海(科創板)

IPO企業(2022年上半期)調達額(億円)
亜虹医薬505
邁威生物695
賽倫生物179
和元生物240
首薬控股400
仁度生物130
栄昌生物800
海創薬業500
薬康生物225

科創板は今年の6月に三周年を迎えましたが、この間に体制・規律の整備が進むと同時に門戸も広がり、医薬品以外に医療機器の会社も対象となり、香港市場が苦しんでいる中健闘しています。

3. 将来に向けて

バイテク企業の資金調達はグローバルに冬の時代に入っており、中国も例外ではなく、各社とも緊縮のR&D予算を組み始めています。中国企業の海外からの新技術導入(ライセンス)も以前ほどの勢いがないようにも見受けられます。しかしながらどの地域でも同じですが、リセッション局面においては医薬品業界のようなディフェンシブセクターに資金が集まりやすくなっています。中国でも特に優良企業には資金が集まっています。その意味で日本企業が組む相手を選択する場合に、資金調達力という視点での選別も重要になってきます。

IPOの観点からは、アメリカも含めグローバルな投資資金が集まっている香港市場は冬の時代に入っており、2022年上半期は9年ぶりの低水準となりましたが、先行する株価指数は直近2ヶ月は好転ともとれる動きになっています。一方で、中国の国内の投資資金で回っている上海・深センのIPO市場は、厳しい環境の下でもグローバルのトップに躍り出るくらいの健闘ぶりです。

中国での資金調達という面では、諸々の情勢から年内の回復は難しいかもしれませんが、少なくとも他の業界や他のエリアと比べると中国本土の市場では資金の集まりやすい状態が続くようです。

投稿者プロフィール

川本 敬二
弁理士 (川本バイオビジネス弁理士事務所(日本)所長、大邦律師事務所(上海)高級顧問)

藤沢薬品(現アステラス製薬)で知財の権利化・侵害問題処理、国際ビジネス法務分野で25年間(この間、3年の米国駐在)勤務。2005年に独立し、川本バイオビジネス弁理士事務所を開設(東京)。バイオベンチャーの知財政策の立案、ビジネス交渉代理(ビジネススキームの構築、契約条件交渉、契約書等の起案を含む)を主業務。また3社の社外役員として経営にも参画。2012年より、上海大邦律師事務所の高級顧問。現在、日中間のライフサイエンス分野でのビジネスの構築・交渉代理を専門。仕事・生活のベースは中国が主体、日本には年間2-3か月滞在。
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2022年7月9日/川本 敬二/IPO|医薬市場
タグ: IPO, 科創板, 分析記事
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