日本においても昔のいつか我々が通って来た道。病院経営が薬剤費収入に依存、そして過剰処方と薬剤費の上昇。 中国では2000年には、総医療費に対して薬剤費が占める比率(薬剤費比率)が60%を占めていました。その後、薬剤費比率の抑制策が取られ、さらには総医療費が高騰する中で、総額の抑制策が始まります。その一環として、医薬分業により、病院外の薬局での医薬品の購入が一歩一歩広がってきており、今では病院の薬剤費比率は20%代後半にまで下りて来ています。

そういった中で、前回の記事の通り、PD-1等の高価な新薬を含む抗癌剤に対して保険適用がされるようになりました。しかしながら、2018年-2019年に医療保険リストに収載(保険収載)された新薬等が実際に病院で処方されている比率は25%に留まっているという現状があります。保険収載されても処方されない、なぜそうなるのか複数の理由が挙げられていますが、その一つが薬剤費比率の抑制策です。各病院では、ある新薬を採用し処方を開始する場合、まず、それまで処方されていた薬剤の納入を終了する等の措置がされているのが実態ですので、特に高価な新薬の場合は、新規の採用が非常に難しくなります。当該新薬の病院での処方がなかなか進まず、患者からもクレームが出ていました。

そこで、保険収載されている薬剤の中で、臨床上緊急性の高いとされるPD-1抗がん剤を含む一部の指定薬剤について、全国各地で病院と院外薬局の複数を指定して、これら2チャンネル(指定病院、指定薬局)のいずれにおいても、患者は同じレベルの保険適用を受けて、指定薬剤をどこでも同じ薬剤価格で購入できるとして、患者への供給を保障する政策を打ち出しました(注1  医保発[2021]28号:保険収載済の医薬品の2チャンネルの管理システムに関する政策)。新しい政策の下で、各保険基金・病院・薬局の三者の連携を図り、保険適用の薬剤が適時・スムーズに患者の手に届くシステムを構築しようとしています。すなわち、これらの指定薬剤の処方については、指定病院では、総医療費、薬剤費比率の抑制施策の枠外での処理となることから、病院では新薬の採用が促進されます。また、院外薬局でも同じ保険適用・価格で高価な新薬を購入できるよう保障して、医薬分業を推進し、新薬が患者の手に近くなるようにしようとしています。今後、各省・各保険基金を巻き込んで、各地区の具体的な運用内容が明らかになって来ます。

このような背景のもと、中国発のPD-1の薬価収載された製品については、病院での採用までの時間が短縮化され、さらには、患者は院外薬局でも購入することができるようになることから、前回言及の通り、市場が大きく拡大することが見込まれています。

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