無錫薬明康徳 / WuXi AppTec / 药明康德 / ウーシー・アップテック
証券コード:H.2359, SSE.603259
正式会社名:无锡药明康德新药开发股份有限公司
/ WuXi AppTec.
公式ホームページ:https://www.wuxiapptec.com/
最新情報
「生き残った種というのは、最も強かった訳ではない。また、最も賢かった訳でもない。変化に対する適応能力が高かったのである。」(ダーウィン)
社長の李氏とWuXiの進化
薬明康徳(WuXi、ウーシー・アプテック「WuXi」)の創業者の李革(「李氏」)は、グローバルの変化に対する適応能力が高いことに加えて、時に、先手を打っているような歩みをされています。
李氏は、北京生まれの50歳代半ば。 北京大学で合成化学、その後、米国に留学して、コロンビア大で博士号を取得。そして、指導教官(Dr.Still)とコンビナトリアル化学の技術をベースに米国でPharmacopeia Drug Discovery社を創設(その後、2007年にIPOを果たす)。
さて、様々な業種の「製造」分野では、1980年代、コスト・パフォーマンスを求めて、欧米系企業の中国への「製造委託」が始まっていました。他方、医薬の「R&D」分野では、その20年後に、欧米系の製薬企業による中国への「研究委託」が始まりました。李氏は、その潮流を肌で感じたのだと思います。先鞭をつけて2000年に無錫(日本語では「むしゃく」、中国語で「ウーシー」と発音)に薬明康徳(「WuXi」)を設立、その後、上海に一大研究施設群を築き上げました。
当初は、欧米系からの医薬中間体等の合成受託から始まりましたが、2010年あたりまでは、WuXiへの委託元は、ほぼ全て欧米系の医薬品企業が占めていました。その後、中国で新薬R&Dが立ち上がり始め、2015年には政府の薬事規制改革元年を迎えました。それは中国企業に新薬R&D推進の起爆剤となりました。これに伴い、WuXiの委託元の企業は、海外企業に加えて、中国の内資の医薬品企業がうなぎ上りに増えて行きました。WuXiは医薬品の研究開発業務の内、当初からの新規化合物・中間体の合成に加えて、その後、生物系の毒性、薬理、DMPK、更にはCMCと全ての前臨床領域をカバーするようになりました。 また、中国企業の自主研究のプロジェクトが前臨床から臨床段階に進むのに歩調を合わせて、臨床分野の受託ビジネスにも進出。 この分野での中国の巨頭、TigerMed(泰格医薬)を追いかけています。
更に、モダリティー的には、低分子化合物を振り出しに、世界の医薬品ビジネスの趨勢を反映して、抗体等のバイオ医薬、次いで細胞治療分野に参入しています。尚、バイオ医薬は、関連会社のウーシー・バイオ(薬明生物)が、細胞治療はJW Therapeutics(薬明巨諾)が夫々、ビジネスを担っています。このように医薬品のR&Dのあらゆる段階、全てのモダリティーをカバーするCRO、CDMOに進化しています。 尚、WuXiは2008年に米国の医療機器のAppTec社を買収し、英語の会社名称はWuXi AppTecとなっています。
中国の医薬品業界では、夫婦二人三脚で有名なのが恒瑞トップの孫氏と豪森医薬トップの鐘女史のお二人。WuXiトップの李氏の奥さんの趙女史は、李氏と北京大学・コロンビア大学の同窓で、WuXiの共同設立者、現在は、オペレーション・人事部門(社員1万6千人)のグローバルの統括をされている女傑です。
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業績
(準備中)
将来性
WuXiはグローバルのCRO業界でトップ・テンに入る企業ですが、特筆すべきは近年の驚異的な成長です。昨年度の営業収入は前年度比、38.5%増、利益に至っては72%増です。WuXiの社員、特に営業・BD部門のノルマは厳しく、前年比30%増を前提に、個人業績の上乗せを求められているようで、社員の仕事上のプレッシャーは相当なものの様です。ただ、グローバルで見れば、未だマーケット シェアは低いので、将来の伸びしろは、まだまだあると期待されています。
日本の医薬品企業に比べて、中国の企業はR&Dの外注比率は非常に高く、研究開発費の半分近くを外注費が占めており、そして、中国企業の研究開発費用は近年、年率13%増で推移しています。WuXiは、欧米企業からの外注で培った経験をベースに、進境著しいお膝元の中国企業から外注の増大が期待できます。
中国経済は、国内市場の増大により、外需(輸出)に加えて内需を重視する「双循環」による発展モデルを追求しています。WuXiはそういった中国経済の発展の趨勢に乗って、CRO事業について「双循環」モデルでの発展が期待できると言えます。
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R&D情報
(準備中)
BD情報
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リスク
中国の先端技術企業に一般的に言えることは、アメリカ・リスクです。WuXiもご多分に漏れず、子会社のウーシー・バイオがアメリカのUVL(輸出管理改革法に基づくUnverified List / 懸念先リスト )に掲載されたことからその対応を誤らないことが重要になってくると思われます。米国の先端技術を使用した機器(バイオ リアクターコントローラー、中空糸フィルターhollow fiber filter)に関し、米国からの輸入に際しての手続き上の問題が指摘されているようで、現場検証を経れば解決すると説明されています。
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