中国における新薬フォーラムの2026年上半期総括 ── 海外企業の中国創薬への関心高まる
2026年3月に蘇州で「BioChina」、4月に上海で「ChinaBio」が相次いで開催されました。これらのフォーラムは、中国国内における新薬研究開発への関心の高まりを示すとともに、海外企業の注目を強く集めるものとなりました。直近の中国の新薬・バイオ創薬の勃興を背景に、今年は特に、欧米企業からの参加が目に見えて増えています。さらに7月には上海で「CPIC」(China Pharmaceutical Innovation Conference)が控えています。本稿では、各フォーラムの特徴と話題を紹介します。
1. BioChina(第10回、2026年3月13~16日、蘇州)
主催は上海の易貿医療。過去数年の活況を引き継ぎ、多くの中国企業(医薬品・生物製造)が参加しました。主な特徴は以下の通りです。
- 展示規模の拡大:蘇州国際博覧中心のC・D・E・F館を使用。展示ブースは中国企業が中心で、分科会は臨床開発、国際規制、知財・法律、ADC・二重特異性抗体など多岐にわたった。
- 海外企業の参加増:前年(2025年)と比べ、米欧・日韓・中央アジアの企業が増加。中国の新薬バイオの優良技術を求めて積極的に接触する姿勢が強まった。
- 会場の熱気:過去は休憩エリアがあったが、今回は全スペースが出展・ブースで埋まり、非常に活気ある雰囲気だった。
2. ChinaBio(第17回、2026年4月28~29日、上海)
主催は国際機関のEBD Group(英Informa Connect傘下)。MNC(多国籍企業)の戦略発表とビジネス1on1マッチングが中心。参加企業700社以上、参加者約1,500人。
2-1)参加者内訳
- 製薬企業:130社超
- バイオテク企業:270社
- 投資機関:29社
- 仲介機関:50社
- R&Dサービス事業者:40社
2-2)地域別内訳
- 米国:110社(ファイザー、イーライリリーなど)
- 欧州:107社(メルクKGaA、ノボノルディスクなど)
- アジア:約300社(中国202社、日本20社超、韓国54社)
- オセアニア:10社
2-3)特徴的な変化(2024・2025年との比較)
- 1on1交流の拡充:100以上の交流スペース(ブース、テーブル、小会議室)を設置。朝8:30~17:00まで多くのビジネスマッチングが行われた。分科会は抗体・ADC、遺伝子・細胞治療の2つに絞られた。
- ランチエリアの変更:従来の着席ランチ地区をブース・エリアに変更。立食ランチで交流に充てる工夫がされた。
- MNCの積極的な情報発信:戦略発表やパネルディスカッションを通じて、MNC各社がBDニーズや関心分野を公表。
- 欧米企業の直接的なアセット探索:海外企業が自ら中国のアセットを探しに来る動きが顕著に。アメリカ等の投資家(ドル運用)も社交イベントに積極参加し、中国企業との接触を図っている。
3. BioChinaとChinaBioの比較(参加目的別の選び方)
| 視点 | BioChina | ChinaBio |
| 参加主体 | 中国企業中心(海外企業は補助) | 海外企業中心(中国企業は約30%) |
| 性格 | 大規模ヘルスケアイベント。テーマ・フォーラム多数。 | MNCの戦略発表と1on1提携に特化。中国企業のBD担当者向け。より国際的。 |
| 参加者層 | 研究開発者、事業担当者、投資家など多様 | 海外から経営幹部(C-levelやVP)が多く、質が高い |
| 海外企業参加度 | 海外参加者は増えているが、ChinaBioには及ばない | 海外企業のCEO・VPが自ら戦略発表を行うレベル |
| 投資機関の関心 | 中程度 | 欧米の投資家の興味、非常に高い。特に臨床前・初期臨床のプロジェクトにNewCoモデルでの協力を好む |
なお、海外企業の参加者の中にも、中国企業との情報交換にWeChat(テンセント社が運営)を使用する人が増えてきています。中国市場での実務的な連携を深めるうえで、現地のコミュニケーション基盤を取り入れる動きが定着しつつあります。
4. CPIC(China Pharmaceutical Innovation Conference)/2026年7月22~24日、上海
前記の両フォーラムが、中国の創薬エコシステムのダイナミズムと、海外からの関心の高さを示したのに対し、7月22日~24日に上海で開催されるCPICは、中国の新薬・バイオ分野で最大規模を誇るフォーラムであり、今回初めて国際大会として開催されます。CPICは「中国発のイノベーションを世界に発信する」場として位置づけられており、今回から海外企業の参加が見込まれることから、日本を含むアジア各国にとっても、中国企業との連携をさらに深める重要な機会になるものと思われます。
投稿者プロフィール
- 中国の著名薬科大学で博士号取得。中国の大手製薬・バイオテック企業で研究開発・管理・BD部門等で活躍。



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