中国医薬品企業の雄、江苏恒瑞医药(Hengrui Medicine)は立志伝中の孫氏がトップとして率いています。孫氏は医薬品業界を代表する人物で、政策面でも彼の発言が反映されていると言われています。また、彼の奥さんは、豪森医薬トップの鐘女史。名物夫婦でForbesにも名を連ねる大富豪です。数年前、中国映画「我不是药神」(薬の神じゃない!)が大ヒットしましたが、その主題となった抗癌剤のジェネリック品を彼らの会社が製造していることから、この名物夫婦は、药神家庭(薬の神一族)とも呼ばれています。その恒瑞は、上海から北400キロ強、青島との間の距離に位置する歴史ある沿岸都市、連雲港に1970年代に医薬製造工場として生まれ、それ以来、连云港を本部としつつ、上海も拠点になっています。 

中国はジェネリック大国。恒瑞はジェネリックを発祥としていますが、いち早く新薬R&Dに飛び込み、現在はジェネリックと新薬とを両輪として医薬ビジネスを展開し成果を上げている稀有な存在で、中国の実質的なトップ企業と言えます。2011年に自主開発による鎮痛抗炎症剤の新薬(NCE)を発売。それ以降は、新薬の研究開発に傾注しながら、癌と手術領域(造剤、麻酔)を二本柱として発展しています。

2020年の業績は、売上高4600億円(前年比19%増)、純利益1000億円(前年比19%増)。特に癌関連の製品の売上げの伸びは著しく、44%の増加。

会社の将来を占う研究開発ですが、研究開発費は伸び一途を辿っており、2020年度は840億円(前年比28%)でした。また、対売上高の比率も18%に上っています。

医药魔方より引用

その成果ですが、癌領域を中心に臨床段階に20数個のプロジェクトを抱え、Ph IIIを含め複数の国際共同治験が進展しており、2-3年内に収穫期を迎える様相です。

販売面では、収入の主力はジェネリック薬です。2019年末から始まった国家による集中買付政策の影響を受け利幅が狭くなっている中で、2021年4月に第五回買付が公表され、その対象製品が拡大していることから経営への影響が懸念されています。特に、恒瑞の主力製品でBE同等性評価の承認を受けていない薬剤が対象品目に含まれており、承認を受けていないと買付には参加できない事から、7月までに行われる入札までに承認が得られない場合には少なからず負の影響が出てくるとされています。

新薬では、2019年に承認の下りたPD-1抗体は、著しい売上の伸びを示しています。さらにこの新薬は、血液癌(hodgkin lymphoma(hl) )、肝癌、肺癌、食道癌の4つの適応症について2020年末に医療保険適用の目録に収載されたことから、ドル箱に成長することが期待されています。

他方、経費面では前述の研究開発費に加えて、営業コストが高水準で推移しており、課題とされています。

恒瑞は、ジェネリック・ビジネスで上げた利益を新薬の研究開発分野に積極的に資金投入してきました。ジェネリック・ビジネスが国の集中買付政策により、利幅が益々薄くなり暗雲が垂れ込めていますが、そういった中でPD-1抗体等の新薬がビジネス面でようやく成長路線を走り出してきつつあります。しかしながら、研究開発費の高騰はそれを上回るものがあり、日本の大手研究開発型企業が過去に歩んだ道、即ち、国際化の道が重要となって来ており、場合によってはM&Aの道を選択せざるを得ないのかも知れません。

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